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2024/08/16

POLITICAL ECONOMY第266

Tweet ThisSend to Facebook | by:keizaiken
オリンピックは万博の余興だった
                                 元東海大学教授 小野豊和

  パリで100年ぶり3度目となるオリンピックが開催された。開会式の行進はスタジアムではなく200を超える国と地域の代表が船に乗ってセーヌ川を航行し、エッフェル塔を臨むトロカデロ広場で開会宣言が行われた。コンコルド広場、グランパレ等に仮設観覧席を設けるなど9割以上が既存施設を活用する等パリならではの趣向は素晴らしい。

  近代オリンピックは、フランスの教育者ピエール・ド・クーベルタン男爵が「スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍など様々な差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」と唱え、1896年に実現した。第1回はオリンピック発祥の地・ギリシャのアテネ大会。今回は第33回の夏季オリンピックとなる。エッフェル塔が建ったのは、近代オリンピックが始まる7年前のパリ万博で、産業技術の息吹を感じさせる最大の展示物だった。大航海時代(15世紀半から17世紀半)に、7つの海からヨーロッパに持ち込んだ動植物や標本を公開化する流れのなかで博物学が発達した。1789年に始まったフランス革命によってヨーロッパ諸国家には新しい資本主義が登場し、その
イデオロギー装置として出現したのが博覧会で、産業テクノロジーを基軸とした壮大なスペクタクル形式のうちに統合していく。こうした方向に先鞭をつけたのがフランスで、やがてヨーロッパ諸国へと広がっていく。この動きの集大成として1851年にロンドンで史上初の産業博覧会が開催され、その後、都市開催の万国博覧会として発展していく。

 1896年の近代オリンピック第1回アテネ大会に続く3回のオリンピックは、万国博の余興として開催されていた。1900年の第2回パリ大会は、同年のパリ万博、1904年の第3回セントルイス大会は同年のセントルイス万博、そして1908年の第4回ロンドン大会も同年の仏英博と深く関係していた。そして、これらいずれにおいても、主役はあくまでも博覧会で、オリンピックは脇役的にしか注目されていなかった。オリンピックは、その後、第5回ストックホルム大会でようやく万国博から独立し、徐々にその規模を拡大していく。

オリンピックが国際イベントの中心に

 オリンピックと万国博とのこうした関係が逆転するのは、1936年のベルリン大会からである。この時、政権の座にあって既に3年を経過していたナチ総統のヒットラーは、ユダヤ人に対する残忍な迫害や、周辺諸国への侵略意図をカムフラージュしつつ、自らの「帝国」を神格化する格好の仕掛けとしてオリンピックを徹底的に利用していったのである。彼が行ったのは大会のスペクタクル化で、聖火リレーや表彰台、壮大なスタジアムの建設と、見事に演出された開会式など後につながるオリンピックの伝統が発明されていったのである。第二次世界大戦後になると、諸国家が覇権を競う国際的イベントとしては、万国博ではなく、オリンピックこそが中心的になっていくのである。

 万国博からオリンピックへの移行は、産業的技術から運動的機能への重心の移行で、20世紀の情報メディアの発達が不可欠な前提条件となっていく。事実、1936年ベルリン大会では、聖火リレーから開会式、競技までが詳細にラジオで中継されていた。そして、ベルリン大会とメディアとの統合を示したのが、レニ・リーフェンシュタインによる映画「民族の祭典」であった。博覧会が開催期間を通じて会場内に数千万人収容できたのに対し、オリンピックは各競技の直接の観客として収容できるのは10数万人程度であった。ところが、メディアを通じて全世界に同時に放送されることで、オリンピックは万国博よりもドラマチックな催しとして、人々の意識を強力に高めるようにな
る。つまり映像的および電子的なメディアの発達と浸透こそが19世紀と20世紀を分ける一つの決定的なメルクマールなのである。20世紀は、この近代のまなざしの場をメディアに代替させることで、地球規模のメディア・スペクタクルの時代を実現させていったのである。

商業スポーツへと発展

 オリンピックは開催国の威信を賭けた政府主導から、開催都市の民間企業を巻き込む商業スポーツへと発展していく。1976年のモントリオール大会で大赤字を出した教訓から、運営経費捻出のため、1985年のIOC総会でTOP(The Olympic Program)というマーケティングプログラムを導入する。オリンピックを技術的、資金的に支援するためのカテゴリー別パートナーシッププログラムで、冬夏セットで五輪マークを使用した全世界向け宣伝活動を行う権利と、VIK(Value in kind)という製品・サービスを、選手育成を目的に全世界のオリンピック委員会と五輪競技期間中の施設に提供できる権利が与えられている。コカ・コーラ、コダック、VISAなどと共に日本企業としては唯一
パナソニックが初回から参加している。

 このプログラムに参加すると優先的に公式サプライヤーになる資格があり、パナソニックは1992年バルセロナ大会からOBS(オリンピック放送機構:開催期間中のミニ放送局)の元請け(公式サプライヤー)となり、30年以上にわたりオリンピック競技大会に対して、パナソニックのAV機器・サービスを提供することで、会期中のすべての競技等の国際映像の運営(取材・編集・発信)を行ってきた。また2014年10月に、日本企業として初めて国際パラリンピック委員会のワールドワイドパラリンピックパートナーとなり、国際社会の平和と発展および、障がい者スポーツ(パラスポーツ)の振興・普及にも貢献してき
た。こうした機器納入やパートナー活動を通じて、世界のトップレベルのアスリートたちの情熱、緊張感、躍動感やそのパフォーマンスがもたらす感動を、会場だけでなく、全世界に届けてきた。

 なお、筆者はパナソニックの広報担当としてアトランタ大会(1996)、長野冬季大会(1998)の現場で取材対応した(写真参照)。   

11:58

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次回研究会案内

第47回研究会
「米中覇権争いとトランプの米中
“G2”構想の意味」

講師:平川均氏(国          士舘大学客員教           授・名古屋大学名誉教授)

日時:月6日(土)
   14時~17

場所:専修大学神田校
舎(予定)地下鉄
神保町駅A2出口、徒歩
約3分

資料代:1000円
オンライン参加ご希望の方は「オンライン研究会参加方法を参照の上お申し込みください。
 

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第38回研究会(2021年11月6日)「コロナ禍で雇用はどう変わったか?」(独立行政法人労働政策研究・研修機構主任研究員 高橋康二氏)


第39回研究会(2022年4月23日)「『新しい資本主義』から考える」(法政大学教授水野和夫氏)

第40回研究会(2022年7月16日)「日本経済 成長志向の誤謬」(日本証券アナリスト協会専務理事 神津 多可思氏)

第41回研究会(2022年11月12日)「ウクライナ危機で欧州経済に暗雲」(東北大学名誉教授 田中 素香氏)

第42回研究会(2023年2月25日)「毛沢東回帰と民族主義の間で揺れる習近平政権ーその内政と外交を占う」(慶応義塾大学名誉教授 大西 広氏)

第43回研究会(2023年6月17日)「植田日銀の使命と展望ー主要国中銀が直面する諸課題を念頭に」(専修大学経済学部教授 田中隆之氏)

第44回研究会(2024年5月12日)「21世紀のインドネシア-成長の軌跡と構造変化
」(東京大学名誉教授 加納啓良氏)

第45回研究会(2025年10月25日)「トランプ関税でどうなる欧州経済」(東北大学名誉教授 田中素香氏)

第46回研究会(2026年1月24日)「高市経済政策は何を目指しているのか!」(立命館大学経済学部教授 松尾匡氏)


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