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最新台湾事情~独裁反対・民主自由の国~(上) 元東海大学教授 小野豊和  人口2,300万の台湾の歴史を見ると、日本統治の50年間があり、その中で親日感が育っていった。日清戦争処理の下関条約により、当時中国大陸を支配していた清朝か...
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2024/03/11

POLITICAL ECONOMY第256号

Tweet ThisSend to Facebook | by:keizaiken
最新台湾事情~独裁反対・民主自由の国~(上)
元東海大学教授 小野豊和

 人口2,300万の台湾の歴史を見ると、日本統治の50年間があり、その中で親日感が育っていった。日清戦争処理の下関条約により、当時中国大陸を支配していた清朝から台湾が日本に割譲され、1895年4月17日から日本による台湾統治が始まった。第二次世界大戦で日本が降伏すると、1945年10月25日に中華民国政府が台湾省を設置し管轄権を行使することで50年に及んだ日本統治が終了した。統治下における教育行政は「日本人の優位確保」と「現地住民の日本的慣習への同化」に重点が置いたが、大陸の朝鮮統治が強制的な日本化だったことと異なり、異なる文化を守りながら、日本人、台湾人、原住民の三種類の学校を作った特徴がある。

 初代総督の樺山資紀につぐ第2代桂太郎、第3代乃木希典は共に陸軍大将で、武力による支配を基本的な方針としていたため民衆の心をつかめなかった。1898年2月に第4代総督に児玉源太郎が就任すると、現場の実務を民政局長(のち民政長官)の後藤新平に任せると、後藤は軍人ではなく、医師から衛生行政に転じた経験から現場重視の政策を行うことで次第に民心を掌握し台湾の情勢が安定してきた。例えば、伝染病対策、南部における大規模なダム工事と水路の組み合わせによる農地開発を行った土木技師の八田與一、品種改良を重ねて台湾の気候に合った「蓬萊米」を生みだした農学者の磯永吉、台湾中心部の日月潭(湖)に揚水式水力発電所建設で工業化を支えた実業家の松木幹一郎など、台湾の発展に寄与した日本人がいて、50年にわたる日本統治時代を全否定するような歴史解釈はなく、今でも親日感が高い。

 最近の世論調査では、「台湾の人々の対日意識」(日本台湾交流協会2022年1月)で「最も好きな国」は日本が60%(2位は中国で5%)」、「日本に親しみを感じる」は77%、「日本に旅行したい」は89%である。日本人の対台意識(駐台北経済文化代表処2021年11月)では「台湾に親しみを感じる」は75.9%
、「現在の日台関係は良好」は71.4%、「台湾を信頼している」は64.8%で両国とも親近感が高い。また「台湾における日本語学習者」は143,632人で世界第8位(国際交流基金)だが多い方だ。

 観光スポットにもなっている花蓮県の大理石
で造られた巨大な中正記念館は蒋介石の偉業を象徴していて、蒋介石像の前で行われる儀仗兵の交代(写真)は観光資源になっている。国民党による一党独裁政治は元々台湾に住んでいた民衆の虐待を繰り返し、やがて反政府運動が激化し、美麗島事件がきっかけとなり、蔣経国総統の時代に政党結成を解禁し、ようやく普通選挙が行われるようになるが、そこに至るまでは中正広場などで反政府デモが起こり、民衆の虐殺が繰り返された暗い歴史がある。

美麗島事件、米国との断交、一党独裁が終結

 1972年2月21日のニクソン大統領の電撃訪中後、米国は1979年1月1日の米中国交正常化に伴う米台断交で、中華民国から中華人民共和国に外交承認を切り替えた。これを機に台湾では「独裁反対、民主自由の実現」を目指す運動が高まり、1979年6月2日に無党名の政党結成を目的とした雑誌『美麗島』(ポルトガル語のフォルモサに由来する台湾の異称)が台北市で創刊される。1979年1月21日に初めての反政府デモが行われ、1979年11月、世界人権デー(12月10日)に合わせて台湾人権委員会が大規模デモを申請すると、国民党政府は、デモを予定していた1979年12月10日に全てのデモ活動禁止を宣言した。

 『美麗島』のボランティアがデモ日時を知らせるビラ配布で逮捕されると、活動家が警察に対し即時釈放を要求する。釈放が行われるがこの事件を機に、デモへの参加を計画していなかった多くの活動家が高雄に向かい12月10日午後6時にデモを開始し治安部隊と衝突した。美麗島事件が民進党の政治的出発点となる。1987年に蔣経国総統が政党結成を解禁し一党独裁体制が終結し、民進党と国民党がほぼ交代で政権を取るようになった。(つづく


11:22

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第34回研究会(2020年2月15日)「厳しさ増す韓国経済のゆくえ」(福島大学経済経営学類教授 佐野孝治氏)


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第36回研究会(2020年11月28日)「ポストコロナ、日本企業に勝機はあるか!」(グローバル産業雇用総合研究所所長 小林良暢氏)

第37回研究会(2021年7月3日)「バイデン新政権の100日-経済政策と米国経済の行方」(専修大学名誉教授 鈴木直次氏)

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第41回研究会(2022年11月12f日)「ウクライナ危機で欧州経済に暗雲」(東北大学名誉教授 田中 素香氏)

第42回研究会(2023年2月25日)「毛沢東回帰と民族主義の間で揺れる習近平政権ーその内政と外交を占う」(慶応義塾大学名誉教授 大西 広氏)

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