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2014/07/25

POLITICAL ECONOMY 第19号

Tweet ThisSend to Facebook | by:keizaiken
民族不安、バブル崩壊を横目に、開発ラッシュの新疆ウイグル自治区

                                                 経済アナリスト 柏木 勉

 5月末から6月中旬にかけて中国・新疆ウイグル自治区の北西部を回った。ここは北新疆と呼ばれてモンゴルとカザフスタンの国境に接し、シルクロードでいえば天山北路である。某新聞社報道カメラマンのOB中心の写真クラブの旅行にちょっとした縁で参加したのだが、私は写真など全く撮ったことがなかったので、写真についてはどうなることやらと思いつつ参加した。

 ところで、ウイグル自治区の暴動、ウイグル過激派のテロは周知の通りだ。出かける一週間前ぐらいにもウルムチ市で自爆テロが発生。多数が死傷した。

 そのため北京、ウルムチ空港の手荷物検査は予想以上に厳しかった。乾電池でも1本を入れてあったら「スーツケースを開けろ」だ。上半身は下着、その上のシャツ以外は全部脱がされボディーチェック、探知機でのチェック。最後は靴を脱がされ足の裏まで見せなくてはいけなかった。それはまあいいとして、一番気にくわなかったことは、若い女の子の検査官も含め検査官がきわめて高圧的でいばっている。早くしろとせきたてて、慌てる乗客を面白がって見ているという感じ。まあ、役人や国に関わる仕事をしている人間がいばりくさっているのは途上国の証拠だが。

 その続きだが、北新疆に多いのはカザフ族である。ウイグル過激派の拠点はカシュガルとか離れているので、警戒は緩いだろうと思っていたがとんでもない。私は危うく連行・拘束されそうになった。

 カザフスタンとの国境近くの町で、たまたま歩道工事をしている労働者を撮って通り過ぎたら、そこが町の警察本部の前あたりだったらしい。怒鳴りながら追いかけてきたおまわりに留め置かれた。今にも引きずっていかれそうな感じだったので、足をふんばってからパスポートをみせた。すると、多分警察本部への連絡だったのだろうが、携帯電話をとりだし大声でやり取りをはじめた。それがかなり時間がたっても終わらない。正直なところ「やばいことになるかも」と不安が大きくなってきたのも事実だ。らちがあかないまま30分程たってから、カメラを何度も指さし、再度怒鳴られてやっと解放された。その態度は全く高圧的だった。しかし、黙って振り返らないようにして早足でホテルに戻った。

(ちなみにウルムチで泊まったホテルの前では軍隊が30-40人ほど隊列を組んでいた。ほかの市や町でも警官が小銃を肩に見回っているのを頻繁にみた)

 次はホテルのシャワーの話。
今回泊まった多くのホテルで驚いたのが、シャワーを浴びるところにカーテンも何もないことだった。シャワーの湯や水を遮るものがないのでトイレ・洗面台にザブザブ降りかかり床に溜まってしまうのだ(バスタブはない。だがホテルは4つ星、3ツ星)。これには面食らった。そのうち何とか慣れたが、なぜなのか? 後で友達に聞いたら、泊まる中国人の多くがホテルのカーテンやその他を盗んでいくので、ホテル側が余計なもの
を一切つけないようにしているからだということだった。(この点は読者諸氏からもお教えいただきたい)

 さて、中国は不動産バブル崩壊が取りざたされている。しかし北新疆でも工事、工事の連続だった。新疆ウイグル自治区の開発に中国政府が相当力をいれていることを実感した。今度回った地域(特に知る人ぞ知る絶景地「カナス湖」周辺、また世界遺産のカラチュン大草原など)については一大観光地帯にしようと、高原の道路をダンプがひっきりなしに行きかって整備工事が行われている。だが、観光地につくっているホテルやロッジ、土産物店の殆どは欧州スタイルの家並みにしているが、上っ面だけの真似でいかにも張りぼてという感じだった。しかし、帰ってきた直後にシルクロードが世界遺産に決まったと報じられた。同時に、習近平が提唱している「シルクロード経済ベルト構想」が紹介されていた。

背景にあるのは市場化の問題

 これらはウイグル独立派、爆弾テロの過激派への対抗策にもなるのだろう。そこで、ウイグル、チベット独立問題など民族問題について、とりあえず2点だけ指摘したい。第一に、中国の市場化の進展はかってのいわゆる「社会主義」の価値を破壊した。中国共産党はいまだに共産党を名乗ってはいるが、その内実は社会主義、共産主義とは縁遠いものになっている。だが、かといって新たなイデオロギーによる求心力を持つようになっ
ているわけでもない。そのため民衆はアイデンティティーを喪失しつつあり不安が膨らんで、その間隙をぬうように宗教への依存が増大している。

 第二に、貧富の差、所得格差の縮小をめざし、中央政府はチベットやウイグル自治区発展のために大量の予算を投入している。だが、大規模予算投入による発展は、市場経済が発展した地域から未発達の地域へという流れにならざるを得ない。すると、未発達地域から見れば、外来の漢族の発展地区が未発達の地区へ侵入して、漢族によるいわゆる「漢化」が拡大していると認識され、そのため民族問題に転化してしまうのだ。

 だから本当の課題は民族問題ではなく、市場化、経済の(政治も?)資本主義化の問題であると考えるべきではなかろうか。 

 最後に写真の出来だが、やはり難しい。私には美的センスは十分あるのだが。

11:46

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「米中覇権争いとトランプの米中
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講師:平川均氏(国          士舘大学客員教           授・名古屋大学名誉教授)

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場所:専修大学神田校
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