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2017/10/27

POLITICAL ECONOMY 第102号

Tweet ThisSend to Facebook | by:keizaiken
ドイツ「労働4.0」と電機労連「ME化3原則」
           グローバル産業雇用総合研究所所長 小林良暢

 先週、経済分析研究会で「AI革命・激変する雇用と仕事の未来」の報告をした。ここでは「4つの産業革命」から始まり、「会社が変わる」、「仕事か変わる」、そして「仕事の未来」まで一通り話をした。なかでも強調したのは、AI・IoT革命が雇用に及ぼす影響に対する労働組合の取組みについて、ドイツに比べて日本は遅れていることである。

 ドイツでは、例えばフォルクスワーゲンの工場で働く10万人うち、半分が反復作業の肉体労働で、デジタル化でこの労働は完全に消滅するとか、ドイツの労度組合は官民一体のIot推進団体「プラットフォーム・インダストリー4.0」に参画 して、「労働4・0」を巡る議論に政策要求を持ちこみ、政府の政策課題として実現するよう求めている。

「労働4.0」の政策を私流に要約すると、
①エンプロイアビリティー(就業能力)の向上による「良質な雇用」の確保
②継続的職業訓練を実施する機関を連邦政府の設置
③職業訓練期間中の生活維持のために、「失業保険から労働のための保険」

 これに対して、我が日本はというと例えば安倍政権では、内容のある取組みは無いに等しい。また連合の取組みもIGメタルに比べると著しく弱い。だが、1980年代のME革命の時には、雇用への対応、政府への職業訓練の要求など、日本の労働組合はドイツよりも積極的に私も電機労連で労働界の先頭に立って取組んだので、今度のAI革命にもアクティブに取り組む提言をして講演を終えた。

 質疑応答に入って、生産性本部の北浦さんから「日本の労働組合はAIへの対応が遅いというお話で、MEの時に電機労連が『ME化5原則』を確立したように、分りやすい政策を打ち出す必要がある」とのご意見を頂いた。これを聞いて一瞬はっとして、「あれを書いたのは私です」と答えたものの本当は忘れていた。だが一瞬「ME化3原則」ではなかったかと思ったが、それは言わず家に帰って調べたらやはり電機は「3原則」であった。でも「5原則」というのもあって、それは政府の方である。それには「3原則」と「5原則」とは、ほぼ一体であるという事情があった。

「AI化原則」が必要

 電機労連は1982年7月の定期大会で、ME化への「対応3原則」と「8つの具体的指針」を決定して、このシンプルな「ME化3原則」が世に出回り、これがME化ブームの火付け役になった。
「3原則」とは、
①MEの導入には事前協議を徹し、労働組合との協議が整わないものは認めない。
②導入に当っては人員整理など雇用への直接的影響がある場合はこれを認めない。
③労働安全面について充分に配慮し、導入後も定期的に労働組合としてチェックする。

 加えて「8つの指針」では、配転・職種転換と教育・訓練の充実を盛り込んでいる。一方、政府の「ME化5原則」は、2年後の84年4月に労働省の雇用問題政策会議(有沢広巳座長)が定めたもので、「電機3原則」の基本的な枠組みの上に「政労使間の意思疎通の促進に努める」と「国際経済社会の発展に寄与する」ことを追加したものである。

 今度のドイツの「労働4.0」も35年前の電機労連「ME化5原則」も、労働組合が現場労働者からの生きた声を集めて各レベルの労使協議を積んで、それを政労使の場に持ち込んで3者合意を経て政府の政策にするのは、共同決定と日本型労使協議にはスタイルの違いはあっても、基本スキームは同じである。労働組合は、早急に「AI化原則」をシンプルで分りやすくつくる時だ。

11:00

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