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2019/08/10

POLITICAL ECONOMY145号

Tweet ThisSend to Facebook | by:keizaiken
チベット紀行(上)
チベットの鉄道で出会った2人の青年

                                             経済アナリスト 柏木 勉

 チベット紀行といっても総計21人の団体旅行の感想記だ。6月上旬に8日間の日程で出かけた。

 この旅行の最大の収穫は、チベット人ミュージシャンとそのマネージャーらしき若い二人組と、列車の中で同席になったこと。二人は北京や上海で公演してラサへの帰りだった。印象が鮮烈だったので今回はそれだけを書かせてもらう。

 列車は「青蔵鉄道」。チベットへ向かう人気の鉄道だ。チベットのラサまで25時間乗った。寝台車だ。列車は最高で標高5000m強まで登った。一応与圧室なので、高山病でおかしくなることはなかった。

(注、だが、青蔵鉄道の開通はラサやチベットへの観光客の大量流入を惹き起こし、2008年ラサ暴動のきっかけになったとも云われるが)

 チベットの二人組とは、ラサの少し手前から同じコンパートメントに乗り合わせた。こちらは私と私の友達。私の友達は中国語の日常会話なら不自由しない。私は全く駄目だが。二人組は、私たちと顔をあわせるなり「日本人、大歓迎、大歓迎」という調子で、大袈裟なジェスチャー混じりで話しかけてくる。ワイワイガヤガヤ大声で笑いながら冗談をとばし、最初からテンションが上がりっぱなし。
 
一番驚いたのは彼らのいでたち(添付写真参照)

 チベットの若い者の生活がどんなものか、今まで考えたことも見たこともなかったので、彼らのいでたちを見て驚いた。だが考えてみれば中国は急成長してきた(チベットは「西部大開発」)のだから、チベットの若者も今風になるのは当たり前。日本や西側のマスコミは、昔ながらの民族衣装の中高年や年寄り、あるいはチベット僧の映像しか流さない。だから我らも若い連中のことなど想像しないわけだ。

 一人はミュージシャンで32歳とか。手首から肩までタトウだ。多分背中も。もう一人は確か34歳といっていたが、マネージャー役に見えた。ラサでバーのバーテンダーもやっているとのこと。しかし、それだけでなく大型バイクの ハーレーダビッドソンを乗り回すグループのリーダーだ。グループの名は、ヒンズー教やチベット仏教の神仏の鳥「ガルーダ」。

 メンバーは15、6人、真っ黒なそろいの皮ジャンをつくり、ジャンパーにガルーダのエンブレムを張り付けている。大型のハーレーでぶっ飛ばすのだから、まあ、日本でいう暴走族の連中と同じようなものだろう。

 こっちが勝手につくっていたチベット人のイメージと、彼らのタトウや?の皮ジャン、大型バイクのハーレーとのギャップがあまりにも大きく、「そうかー、これがチベットの若い連中の実態なのだ」と驚いた。

 ミュージシャンはシンガーソングライター。根っからの芸能人だ。すぐにギターをとりだし歌ってくれた。公演中の写真もスマートフォンでみせてくれた。

 3時間ぐらいコンパートメントで一緒だったが、2時間半ぐらいギターをひきながら歌ったりしゃべったりが続き、それが止まらない。おかげでタダで素晴らしい歌と演奏を聞かせてもらった。

若い者が好きなのはロック

 ギターについては、かなりのテクニシャン。うまい。ロックからチベットの伝統的な曲までなんでも歌う。ロック、カントリー、バラード、昔のフォーク等々。同じ曲をロック調、カントリー調、日本調、中国調、「タイはこんな調子」とか云いながら歌い分ける。

 「チベットの若い者はロックが好きか?」ときくと「そうだ、好きだ」という返事。逆に、何人かの日本の若い歌手の歌を冒頭だけ歌って、「この歌手を知っているか?」と聞かれたが、私たちは最近の歌手をトンと知らないので、少しがっかりした様子だった。

 ボブ・ディランの「風に吹かれて」を歌い始めたので、「ボブ・ディランは好きか?」と聞くと、うなずいてから喉を押さえて撫でまわす。ディランのダミ声のことを言いたかったのだろう。双方で大笑いした。

 ダミ声という点では、彼はモンゴルの男たちが歌うホーミーも歌える。自在にホーミーをおりまぜながら歌うのでびっくりした(聞きながら思い出したが、チベットとモンゴルは大昔から政治的・文化的なつながりが深く、モンゴル人が多く住む。いってみ
れば一体だ)。

 「自分がつくった曲を聞かせてくれ」と注文したら、「OK、自分で好きな曲は「ヒマラヤ」という曲だ」といいながら歌いだした。それが実にいい曲で、ゆったりとしたテンポで、何というか悲哀を帯びて、それでいて希望や願いをヒマラヤに託しているような、歌とギターが一体となって、一言でいうと「ヒマラヤへの愛」を感じさせる曲だった。感動した。

 「いい曲だ、素晴らしい。ヒマラヤへの愛の歌だね」と私の友達が云うと、嬉しそうに微笑えんだ。歌手の彼は、さかんに私たちにむかって、「世界の人々はひとつだ、ひとつだ。ONE PEOPLE、ONE PEOPLE」と何度も繰り返す。歌手やアーティストがよく言う言葉だが、2時間半も歌ったりしゃべったりして、自作の素晴らしい歌も歌ってくれたので、心に響いた。

 というわけで、二人組と出会って、これまで中国へ出かけて中では最高の思い出になったという次第です。

 だが、あまり良くないことも読者に知らせておこう。昨年の国連の報告書によると、中国政府はチベット人へのパスポート発行を禁止している。ということで、二人組は外国公演ができない。また報道によれば外国との電子メールも制限があるようだ。日本から二人の写真を送ることもできない。中国政府・共産党による暴動・テロ対策の厳戒態勢の一環である。(つづく


07:24

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