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2020/03/15

POLITICAL ECONOMY第159号

Tweet ThisSend to Facebook | by:keizaiken
中西版「経労委報告」は、劇薬か良薬か
              グローバル産業雇用研究所 所長 小林良暢

 2020春闘は、異例の展開になっている。
ひとつは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府から多くの人が集まるイベント中止の要請をうけて、連合が3月3日の春闘決起集会を中止しことである。また、毎年の賃上げ相場に影響を与えるトヨタ労連も、総決起集会の開催を見送った。

 春闘は、トヨタがベアを非表示してから、交渉経過が見えにくくなってきている。それでも大衆集会や闘争委員会などの節々には、組合情報がアピールされてきた。それが今年はイベント中止で何時、どこで、なにを交渉しているのが分からない「音なし春闘」である。

 いまひとつは、経団連の2020経営労働政策特別委員会報告。今年の「経労委報告」は、中西宏明経団連会長の考え方が強く反映されたものと言われている。読むと、「デジタル トランスフォーメンション」とか「エンゲージメント」など、横文字か多い。その上、「ジョブ型雇用」とか「脱一律賃金」など、これまでの春闘では使われたことのない「新語」も出てくる。

 デジタル トランスフォーメンションとは、「デジタル技術の浸透で、既存の枠組みや制度を覆すイノベーション」のことである。

 また、エンゲーシメントとは、「従業員の会社への愛着心や思い入れをつうじて、会社も従業員の絆を強め高め、一体となって互いに成長していく」という人事管理用語として使われてきた。だが、転じて最近では、「社外でも通用する能力を高め、機会があればより良い活躍の場へと転職していく」とする新しい意味になってきており、もちろん今年の経労委報告は、後者の意味で使われている。

ジョブがなくなれば雇用契約解除できる「ジョブ型雇用」
 
 また「ジョブ型雇用」についは、これまでのメンバーシップ型社員の採用、育成中心とした日本型雇用シスムには様々なメリットがある一方、経営環境変化に伴う課題も顕在化しており、この自社に適した社内施策ではエンプロイアビリティが高い社員は育成されず、ジョブ型雇用が広がらない一因とされているという。

 「経労委報告」は、とくに注を付けて以下のように記している。
 「ここでいう『ジョフ型』は、当該業務等の遂行に必要な知識や能力を有する社員を配置・異動して活躍してもらう専門業務型・プロフェッショナル型に近い雇用区分をイメージしている。『欧米型』のように、特定の仕事・業務やポストが不要となった場合に雇用自体がなくなるものではない」と、念を押してエクスキューズしている。

 ところが、中西会長は講演等で、新卒一括採用もこれからは、ジョブ型雇用を念頭に置いた「ジョブ型採用」に移行すべきだとし、会社や経済状況の変化によって、仕事がなくなることがある際には、「ジョブ型雇用の従業員を雇用契約終了することは比較的容易です」の主旨のことを述べている。要するに、ジョブ型雇用にならば、そのジョブがなくなれば雇用契約の解除できると言っている。ここが肝である。

 「経労委報告」と中西会長の考え方には、ちぐはぐだ。ジョブ派賃金論者の筆者は、ジョブ型雇用に与する。だが、労働組合にとって要警戒だろう。しかしながら、いま現場で働いているビジネスパーソンたちの間でも意見が分かれるだろう。だから良く見極める必要あろう。

11:37

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第36回研究会(2020年11月28日)「ポストコロナ、日本企業に勝機はあるか!」(グローバル産業雇用総合研究所所長 小林良暢氏)


第37回研究会(2021年7月3日)「バイデン新政権の100日-経済政策と米国経済の行方」(専修大学名誉教授 鈴木直次氏)

第38回研究会(2021年11月6日)「コロナ禍で雇用はどう変わったか?」(独立行政法人労働政策研究・研修機構主任研究員 高橋康二氏)

第39回研究会(2022年4月23日)「『新しい資本主義』から考える」(法政大学教授水野和夫氏)

第40回研究会(2022年7月16日)「日本経済 成長志向の誤謬」(日本証券アナリスト協会専務理事 神津 多可思氏)

第41回研究会(2022年11月12日)「ウクライナ危機で欧州経済に暗雲」(東北大学名誉教授 田中 素香氏)

第42回研究会(2023年2月25日)「毛沢東回帰と民族主義の間で揺れる習近平政権ーその内政と外交を占う」(慶応義塾大学名誉教授 大西 広氏)

第43回研究会(2023年6月17日)「植田日銀の使命と展望ー主要国中銀が直面する諸課題を念頭に」(専修大学経済学部教授 田中隆之氏)

第44回研究会(2024年5月12日)「21世紀のインドネシア-成長の軌跡と構造変化
」(東京大学名誉教授 加納啓良氏)


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